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【2024年04月19日22:11 】 |
妻に追われる人

以前、このブログで触れた、飲んだくれのホームレス、四貫島を探していて、四貫島がねぐらにしていた橋の下でいつも見かける男性がいた。
真冬のことで仕事が終わってから行くと、もう真っ暗で男性の顔もよく見えなかったのだが、四貫島を見なかったか聞こうと思って声を掛けてみた。

近づいて見ると、男性は老人で、四貫島は時々戻ってくるけど話をしたことは一度もないという。男性の話を聞くと、年齢は64歳であるが、定年後に務めていた嘱託の仕事も期限が切れ、妻と子供に見放されて家を放りだされたのだという。妻と子供は妻の田舎に帰ってしまって、住んでいた市営住宅も引き払い、帰る場所もないのだという。

路上に出て、まだ3ヶ月であるが、食事はコンビニの廃棄弁当をもらっているらしい。女遊びとギャンブルに金を遣い果たし、妻に愛想を尽かされたのが原因ということだ。身よりもなく、年金も貯蓄もなく、この先どうしたらいいのか途方に暮れているのだという。僕は、役所の福祉事務所にいって、ホームレス用の施設に入りたいと相談するように薦めた。いきなり生活保護の相談にいっても、役所では相手にしてくれないことが多いのだ。

数日後に四貫島に会ったとき、四貫島は、男性が施設の人と一緒に荷物を運び出しているところにでくわしたらしく、男性が僕に礼を伝えてほしいと言っていたということだった。あの男性の場合は、年齢的にいっても、やがて居宅保護を受けることができるだろう。それまでの放蕩生活を十分反省している風だったので、それが本当なら余生は無事に過ごせるかもしれない。

こうやって居宅保護を受ける可能性のある人はまだいい。時々立ち寄る小さな公園の片隅で、夜になると簡易ベッドを広げて寝ている「おっちゃん」は、年金受給者である。しかし、年金のほとんどは妻が受け取ってしまい、自分は月に3万円の小遣いをもらって路上生活をしているという。足りない分は、アルミ缶で稼ぐのだ。詳しい事情は聞いていないけれど、「おっちゃん」が言うには、妻が年金をもっていくのは慰謝料なのだとか。

戸籍上は夫婦であり、離婚もしてくれない。しかし、家には入れてもらえず、年金もほとんどもっていかれてしまう。それでやむなく路上生活をしているのだが、年金があるために生活保護を受けることもできない。何があったのかしらないけれど、これは妻の復讐なのではないかと僕は勝手に想像している。

年金も何もないけれど、離婚した妻との共有名義の家が残っていて、妻がその家に住んでおり、名義変更も売却もできないで路上で暮らしているという老人もいた。このように、何らかの資産や年金がある人が、妻により路上に放り出されたとしても行政の福祉の恩恵にあずかれない反面、年金も掛けず、貯蓄もせず、お金を遊びやギャンブルに遣い果たしていた人の方が生活保護を受けやすいというのは矛盾しているような気もする。

いずれにしても、恐ろしいのは妻である。妻の恨みを買わないようにしなければ、将来、僕も路上で途方に暮れるということになりかねない。くわばら、くわばら・・・。

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【2007年03月15日15:26 】 | 未選択 | コメント(4) | トラックバック()
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コメント
妻-愛=ホームレス?
こんばんは。メントールさんに出会えた御老人、幸運でしたね。大抵の人は自分がホームレスになるなんて思いもしてないでしょうし、そうなった時、どうすれば良いかなんて知りません。出会えていなければ、ずっと橋の下の人だったかもしれませんね。四貫島さんに感謝の意を託したなんて、御老人、よっぽど感謝してたんだなぁ。
奥様の復讐でホームレスになる人生があるなんて正直驚きました。それから、そんな強い妻の元で遊びまわれる「男」ってすごい生き物だと妙に感心しました。( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
メントールさんの感じる矛盾は確かに納得いかないですネ~。自業自得な人が保護を受け、そうでない人が保護を受けられないってどうなんでしょうね?とはいえ、行政がひとりひとりの事情を考慮してたら仕事が滞るでしょうし…、難しい問題です。一番の解決策は「妻を大事に」ですね?(*’―’*)♪
【2007年03月15日 19:15】| | あき2000mg #56b0732b20 [ 編集 ]
たまに感謝されます
汚いと思う人はいても、誰にもその存在を心配されず、ポツンとビルの隙間や公園の草むらで寝ているホームレスっていますでしょう。野たれ死にして白骨になってから発見されるような人もいるのです。橋の下の老人もそうなるかもしれないという不安をもっていたようです。その境遇を誰かに話すことが出来ただけでも気が晴れたといっていました。とはいえ、ホームレスもキャリア15年の酔いどれ四貫島レベルになると、野たれ死にも本望だと言ったりするんですけどねぇ(-“-;

ずっと以前の話ですが、草むらにダンボールを敷いて、うなされながら寝ている男性がいたんです。声をかけると、九州から知り合いを尋ねて大阪に来たけれど、知り合いには会えず、風邪を引いて熱が上がり、身動きできなくなったということでした。色々事情があるみたいで救急車も拒否するので持っていた風邪薬を与え、近くにいたホームレスに様子見を頼んでその場を去ったことがありました。

しばらくして、彼はそのホームレスのコミュニティに住む、テント住まいの立派なホームレスになっていました。それが、僕がのちのち、「飲み仲間」となるきっかけだったんですけど、彼には命の恩人と呼ばれて感謝されています。しかし、よかったのかどうか・・・。

妻の復讐は、「熟年離婚」という言葉が流行したように、夫の定年後に実行されることが多いようです。それまで妻は、とりあえず、じっと我慢しているのでしょう。女性って、男性が忘れているような細々としたことを昨日のことのようにずっと覚えているものですね。世の男性は、妻の心に悲しみや恨みのクサビではなく、喜びや感謝のクサビをたくさん打ち込むようにしないと、後々、どんなしっぺ返しがあることか・・・・ぶるぶる(><)
【2007年03月16日 00:02】| | メントール #2a13125ea8 [ 編集 ]
妻に追われる人…か

女は現実的で堅実。

比べて男は哀しい生き物っすね。

そのオッチャンもなんらかの抵抗手段は知ってるのだろうけど、あえてホームレスとなったんやろうなぁ~と思います。



僕はホームレスの事を考えると、今の社会は複雑過ぎるんやないかなぁと思います。

原始時代は皆ホームレスっすよ。



科学が発達し、利便性を貪欲に追及していく。
そして文化が発達しながら社会が複雑になっていく。

これ以上複雑になるとみんながついてイケないんじゃぁないんかなぁ。


精神病患者って、カウンセリング受けてるだけっていう軽い人を含めれば大勢いるし。

知らない病名なんかもたくさん有り、症状を調べたら自分に当てはまってたりして…。



インターネットも現実逃避の場所になりがちやないっすか。
そのうち現実とバーチャルの区別がつかなくなりそうな…。


余計なものを排除して生きる為にだけ行動してるホームレスの方が、より人間らしいのじゃないかとも思えてくるのは僕だけでしょうか。

【2007年03月16日 15:11】| | kaitaiya #9b11f483be [ 編集 ]
人間らしいようにも思われますが・・・。
>kaitaiyaさん

せっかくのコメントにレスが遅れてしまいました。すみません。
「余計なものを排除して生きる為だけに行動しているホームレスの方が、より人間らしいのじゃないか」とのことですが、難しい問題ですね。そして、このブログにとっては、立つべき位置を問われているような大きな問題です(笑)

色々な人がいるけれど、仲間内で飲んで、陽気にはしゃいでいるホームレスは、実に無邪気で憎めない存在です。明日も知れない身でありながら、世間的な見栄や利権や人間関係にとらわれず、あるがままの姿で日々を暮らしているように見える。生身のホームレスはそんなに純化されたものじゃないよと思いつつも、煩雑な人間関係や利害に振り回され、しがらみの中で窮屈な毎日を送っている身の上からすれば、そんなしがらみを断ち切って、ホームレスにでもなってしまいたい。

それは、多分に情緒的で空想的なものだけれども、僕はそんな風に思うことがあります。僕はどこかで、ホームレスに対するシンパシーを感じているのかもしれません。しかし、それでもやはり、ホームレスの生活が人間らしい生活かと問われれば、そうではないと否定せざるを得ません。

なぜなら、そこがホームレスのホームレスたる所以であるわけですが、生活基盤の中で最も大切な住居が彼らにはない。いや、テント小屋があるでしょうといわれるだろうけど、公の場所に不法に建てたもので、確たる自分の住まいであると誰もが認めてくれるものではない。一部を除いて電気もなく、トイレや水道も公のものに依存している。周囲の反発をできるだけ買わないようにしようとすれば、遠慮しながら肩身の狭い思いをどこかでしなければならず、公園や道路などの管理側から、いつ出て行けといわれるかもしれない不安を抱えている。

そのような生活基盤の根本を失った生活が、果たして人間らしいと言えるだろうかと思うのです。その上で、人によっては廃棄弁当を食べて腹を満たしていたり、衣服に困ったり、風呂にも入れず汚れたままになっていたりするのですが、それは基本である、権限のある住まい(住所ではない)を持たないことの延長なのだと考えています。

「原始時代は皆ホームレス」とも書いておられますが、昔、「はじめ人間ギャートルズ」という原始時代をテーマにしたアニメがあったんですよ。何にもない大地で繰り広げられるおおらかで冒険心に富んだ原始時代の一家が登場人物なのですが、大人も含めてあのアニメの人気が高かったのは、複雑な社会に疲れた現代人のノスタルジーだったと思うのです。
しかし、どんなにノスタルジーを感じたとしても、今の時代に生まれた我々は、今の時代を生きていくしかない、そう思います。これは、僕が僕自身に言い聞かせていることです。
【2007年03月20日 00:14】| | メントール #2a13125ea8 [ 編集 ]
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