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【2024年05月17日18:23 】 |
ホームレスの就労

去年の11月の話であるが、知り合いの企業の会長さんがいい人で、ホームレスに仕事(軽作業)を与えて自立してもらおうという話になった。ホームレスは日銭暮らしが多いから、しばらくは日払いにしないと、月払いでは1ヶ月間、飲まず食わずですよ、とアドバイスしたら、そうするので、いい人がいたら紹介してほしいと頼まれた。

安請け合いをしたものの、人選は結構難しい。すでに何らかのアルバイトでいくばくかの収入を得ながらテント暮らしをしている人もいるが、せっかくアルバイトを紹介してもらっても続かない人もいる。ささいなことに腹を立て、ケンカをして辞めてしまったりするのだ。聞いた話では、住み込みにしてもらったのに支度金をもらって逃げちゃったのまでいるという。

馴染みのテント・コミュニティのメンバーは、まず駄目だ。時間に拘束されることを嫌い、自由なテント生活をそれなりに謳歌している者は少なくはないと思うのだが、馴染みのコミュニティのメンバーは、もれなくそういうタイプのホームレスである。

なんだかんだで、三人のホームレスを雇ってもらったが、ただひとり、K氏だけが辞めずに続いた。彼は工場での受けもいい。彼の人柄もあるが、会長さんがあらかじめ、彼らに「自分をホームレスだと思うな。思うと卑屈になる」と助言する一方、工場の他の従業員にも、「彼らはホームレスであるが、真面目に働けば関係がない。慣れない内は失敗もするだろうけど、ホームレスだからというような目でみてはいけない」と陰で言い聞かせていたのだ。企業のそういう精神的な受け入れ態勢は大切なことである。

ところが、今年の2月に入って、会長さんから僕に電話があった。「あいつ、給料払ってるのに金もってへん。アパートに入ったら正社員になってもらおうかと思ってるくらいやのに、ずっとホームレスのままちゃうか」とのこと。
K氏を問い詰めると、身だしなみのために衣服などを買ったというのもあるが、大半は、テント仲間に貸したり、タカられておごってしまったりで散財したという。

普段は優しい僕だけど、このときは少し怒った。「本当に自立したいと思っているのか。その気がないなら、他の自立したい人にまわすから、仕事やめてくれ」

K氏と色々と話をして、K氏は自分からわざと、テントの仲間と疎遠になるようになった。「俺はあいつらとは違うんだ」と思うようになったとも言っている。それを僕は差別的な発言とは思わない。向上心の現れだと思っている。そういう向上心や自発的な努力がなければ、ホームレスからの脱却は難しい。ホームレスになってしまった原因は色々だろうけど、ホームレスから脱却するためには、最終的に本人の意思が大切なのだ。

テントのままの就労というのは、ホームレスにとって敷居は低いが、かえってテント生活を助長する可能性がある。現に、十分な収入がありながらテント生活を続けている者がいるではないか。
かといって、大阪市の自立支援センターのように、施設に入所してから仕事を探すのでは、団体生活に馴染めないということに加え、100%就労できる保証がないという不安から、施設入所を拒む者がいるだろう。

これは僕のアイディアなのだが、まずはテントのままで就労させてみて、ある程度のトライアル期間を与え、続けられると本人が納得してから施設に入所させるというのはどうか。経済団体がセンター入所者に対して行っているという就労支援の枠を広げるのだ。

まず、就労という事実を与えてから、施設に入ってもらってテント生活を断ち切るとともに、センターが金銭管理を行い貯金させる。必要に応じて、社会復帰のための訓練も行う。そうすれば、再び路上に放り出されるという不安が少しは減り、就労による自立への道も近くなると思うのだが、どうだろうか。

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【2007年03月01日00:16 】 | 未選択 | コメント(0) | トラックバック()
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