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【2024年05月19日14:35 】 |
入院後の孤独と不安

S蔵という男がいる。S蔵がテントにいるときは、ほとんど口も利かなかったけれど、入院が長引いてテントを壊さなければならなくなったときに、僕が飼い犬の里親を探したことがきっかけで、よく携帯に電話が掛かってくるようになった。

S蔵は心臓病やら血圧やら内臓やらでもう1年半くらい、転院を繰り返しながら入院生活を送っている。見舞い客もなく、退院の見込みも告げられず、孤独感と不安に苛まれる毎日らしい。唯一の話し相手が僕なのだ。

いつまで続くかわからない孤独な入院生活。そして、退院後は居宅保護を望んでいるが、生活保護を受けることができるかどうかもわからない。もしも居宅保護を受けることができなければ、元のテント暮らしを強いられることになるが、以前のテントは既になく、体力的にも缶拾いをする自信はない。退院後の自分がどうなるかも不安なのだ。

実際、65歳未満の入院患者は、退院の段階にならないと、居宅保護を受けられるかどうかは判断してもらえない。僕は、ケースワーカーがいるはずなので、よく相談して希望を伝えるようにと言ったが、ケースワーカーとは最初の入院の時しか会ったことがないという。じゃあ、院長に居宅保護希望の意思をはっきり伝えておくようにというのだが、転院のたびに同じような会話がくりかえされる。

ホームレスや身寄りのない人は、入院すると治療だけして、精神面はフォローなしなのかなぁ。。。そこまで望むのは贅沢なのかもしれないけれど、去年の12月、S蔵が「死にたい」とまで言い出したので見舞いにいった。

S蔵に身内はいないのかと尋ねると、10年前まで、姉の家の近くに住んで、仕事の手伝いをしていたという。ならば、お姉さんに連絡をとってみようという話になった。S蔵によると、不義理をして飛び出し、テント生活になったので、もう関わりあいたくないといわれるかもしれないということであったが、とりあえず僕は姉夫婦が住んでいるはずという場所を聞き、連絡をとってみることを約束したのだ。

それからが、結構大変だった。まず、住所が不正確で探しても見当たらない、電話番号もわからない。僕も仕事があるので、平日の昼間はあまり自由が利かず、ひとつひとつの行動に移るまでに随分と時間が掛かってしまった。

しかし今日、ついに、姉夫婦の家を発見した。玄関の呼び鈴を押し、ドアをノックしたが、誰もでてこない。僕は不在に備えてあらかじめ用意した手紙を玄関のポストに入れた。手紙には、S蔵との関わりとS蔵の様子、僕の携帯の番号を書いてある。どうか、僕の携帯が鳴りますように・・・、僕は玄関先で手を合わせて拝んだ。

連絡があったとしても、S蔵にあってくれるかどうかはわからない。でも、せめて連絡だけはほしいと願っている。

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【2007年02月25日00:44 】 | 未選択 | コメント(3) | トラックバック()
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コメント
無題
お祈りしています。
そして、S蔵さんの進む道が良い方向になりますように☆
毎日毎日ごくろうさまでした。。
【2007年02月25日 18:30】| | fiume #2abdfd62e0 [ 編集 ]
無題
話を聞いてたら何だか保護が出来ないのが納得出来ません。

もし、オレが何かのお役に立てれるようならば、お手伝いしたいく

らいです。
【2007年02月25日 22:48】| | leo #986e3d583e [ 編集 ]
まだ連絡はありません
>fiumeさん
一緒に祈っていただいてありがとうございます。
1日たちましたが、連絡はありません。後日、改めてまた訪問したいと思っています。お姉さんからすれば、とっても怪しいんでしょうけど、せめて直接話をしてS蔵に報告したいです。

>leoさん
気持ち、ありがとうございます。
退院時に病気が全快して就労可能ということであれば保護にはならないんでしょう。僕は経過からしてS蔵の場合は保護の可能性が十分にあると思うんですけど、もしも、保護にならなくても本人が希望しない限り、元のテント生活に戻らなくてもいいように福祉関係の人に相談しようと思っています。
【2007年02月26日 04:05】| | メントール #2a13125ea8 [ 編集 ]
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